2020/05/29 FRI

Graphpaperを作る匠たち:老舗吊り編みメリヤスメーカー「カネキチ工業」

- この生地に出合って完成した、自分が世界で一番気に入るTシャツ -

Graphpaperのこだわりとわがままを叶えてくれる凄腕のメーカーをディレクター南貴之が紹介します。

- カネキチ工業の吊り編みならではの強み -

カネキチさんとは、Graphpaperを立ち上げた1年後には取り組みをスタートしたから、もう5年ぐらいの付き合い。和歌山県にはカットソー生地を製造する、ニッターさんと呼ばれる、吊り編みの機屋さんがいくつかあって、いわゆる小寸という小さい丸胴のところ、大きい寸に対応しているところなど、それぞれに特長がある。

どこも工場自体そんなに大きいわけではなく、しかも吊り編み機はゆっくり編んでいくので大量生産できないし、作業効率も悪い。だから、今は大きなシンカー編機で高速で編むのが主流で、吊り編み機を扱う工場はどんどん減っていって、稼働している工場は数社しかない。当然、機械を扱える技術もないとダメだし、古い機械なので故障したら自分たちで修理したりメンテナンスしないとダメだし、熟練の職人じゃないとできない。その中で、でかいサイズが作れて、今でも昔のままの機械を稼働していたのが、カネキチさんだった。まさにうちが目指している感じでした。

天井の梁に筒状の編み機が取り付けられていて、それを丸胴と呼ぶんですが、寸単位の1つの丸胴が1つのサイズになる。カネキチさんには全部で5サイズあって、20寸はGraphpaperでいう一番人気のサイズ3、最大サイズは、24寸。当然、そんなでかい丸胴は需要がないから動かしてなかった上に、本来は開反して使うものなのに、そのまま使ってオーバーサイズドのTシャツにしています。

- Graphpaper仕様の丸胴生地の特長 -

吊り編み機で編んだ生地の特長は、簡単に言うと、ゆっくり編むから空気が入って、柔らかくてふわっと仕上がる。もし度目を詰めようと思ったら、最新の機械のほうが詰まるんですが、詰め過ぎても硬くなるので、吊り編みで度詰めしているというのがポイントなんです。だから、Graphpaperでは、同じ吊り編みでも度目を詰める分、普通に編むよりさらに時間がかかってしまう。なぜ、そんなに面倒臭いことをするのかというと、吊り編みの独特の風合いで、度目を詰めているのが好きだから。適度に地厚で、適度に空気も含んで柔らかく、適度に詰まっている。糸は正直、SUVINとか高級綿にはこだわってなく、量産で出回っている糸がいいと思っています。アメリカもののTシャツのゴワっとした感じも好きなので、常に入手可能で、質感も供給も安定してブレないのが大事。サイズもでかいからとにかく時間がかかるので、1年中1日中、Graphpaper用の機械は止めずに、ほぼずっと編み続けて、商品を切らすことがないようにしています。

2-Pack Crew Neck Tee

- 最高のTシャツができるまで -

当時、生地屋さんから、カネキチさんが試編みしたものを見せてもらって、その場で激惚れしてしまい、この生地をずっと作り続けてもらう約束をしました。海外の某メゾンブランドから声が掛かっていると聞いて、なおさら他には売らないでくれってお願いをしたほどです。僕が世界で一番気に入るようなTシャツを作りたいという思いがあったんだけど、結論的にいきなり最高のものに出合っしまった。

例えば、同じ糸で同じ回転数で、同じように丸胴で、どこか別の会社に作ってもらったとする。でも、絶対に同じ生地にはならない。やっぱりカネキチさんの機械で作らないとできない。独自の方法、機械の調節、職人の技、それに湿度などの環境的なこと、いろんな要素が絡んで、この風合いはきっとできているから。一度、他の業者のサンプルの生地を見たけど、全然違った。

それほどにいい生地なので、実はパックTシャツは、ほとんど儲けはありません。本来だったら、1枚9000円、8500円で売らないと利益が出ないのに、14000円で2枚入りだから結構カツカツ(笑)。

他にも、ポケット付き、オーバーサイズドなど、丸胴タイプの定番Tシャツは全てこの生地です。ただ利益を度外視してでも産地の人たちに、僕たちは定期的にずっと仕事を入れ続けたいし、一度お仕事をしたところとは長く付き合いたいと思っています。

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>>2-Pack Crew Neck Tee

>>S/S Pocket Tee

>>Oversized S/S Tee

- 冬用のTシャツを仕込み中 -

今、カネキチさんと特別なものを仕込んでいます。定番Tシャツのウールバージョンを作りたくて、丸胴の同じ仕組みで100%ウールの糸でコットンと同じように度詰して編んでいくんだけど、試編みサンプルを見たら、案の定めちゃくちゃいい。期待通りというか、むしろ期待を超えてくるから、すぐにこれはいけると。きっと現場レベルでは、すごい微調整を繰り返してくれたんだと思いますが、社長はもともとLOOPWHEELERで経験を積んだ人ということもあって話は早いし、僕の好みを理解してくれていて、完璧な仕上がりでした。突っ返すこともなく即採用です。

実はウールって万能選手で、暖かく吸湿速乾に優れている。だから冬に着るTシャツがあってもいいかなと、ウールのニットではなく天竺編みのTシャツにしました。秋にはGraphpaper直営店だけの限定品としてリリース予定です。きっと気に入ってもらえると思います。お楽しみに。

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吊り編み機(吊機)とは

ニット生地を編み立てる旧式の編み機で、「吊」という名前の由来は、編み機が梁(はり)に吊り下げられている事からきていて、吊り編み機とも呼ばれる。日本には1900年初頭に輸入されて以来、1960年代まで日本のニット産業界の第一線で稼働。その後、量産重視の高速の編み機が主流になり、生産性や採算性が低い吊機は次第に姿を消していく。さらには、機械メーカーも生産を終了し、多くの吊機は廃棄処分され、今日では現存する吊機は少ない。また、生地を編むのに職人の熟練した技や経験が必要なため、吊機を稼働させる工場は世界的にもごくわずかしかない。

カネキチ工業株式会社

http://kanekichi-turi.com/web/


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